●● そこはかとなく日常short --- 夢想 ●●
「お兄ちゃん、私が大きくなったら結婚しようね」
「分かった。お前が大きくなったらな」
「約束だよ」
「ああ」
「ってことが昔――」
「ないから、絶対。命を懸けてもいいくらいにありえないから」
コトミが言い終わる前に即行否定すると、コトミは恨みがましく俺を睨んできた。
「むぅ、そんなに否定しなくても……。それに夢くらい見させてよ、お兄ちゃん」
「……お前のは、夢ではなく妄想と言うのだよ、コトミ君」
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